生物図鑑
ウスバキトンボ
分類:トンボ科
学名:Pantala flavescens(Fabricius, 1798)
トンボ池でのレア度:★【普通】
全長4.5~5cm。初夏から初秋にかけて普通に見られるトンボ。8月のお盆のころに数が多いウスバキトンボは「お盆にご先祖様がトンボになって帰ってくる」という言い伝えのモデルになったと思われ、精霊トンボや盆トンボの地方名がある。赤とんぼと呼ばれることもあるが、アカネ類(真の赤とんぼ類)とは分類上別のグループのトンボである。 全世界の熱帯・温帯地域に広く分布するが寒さに弱く、国内で幼虫の越冬が確認されたのは八重山諸島の石垣島などに限られる。体に対する翅の面積が広く、エネルギーをあまり使わずグライダーのように長距離を飛ぶことができ、集団でゆっくり飛びながら移動する様子をよく見かける。佐賀県で見られるウスバキトンボは毎年海を渡ってたどりついた個体やそれらが繁殖して増えた子孫である。主に水田のほか、ため池や湿地など広範囲の水域で繁殖するが、不安定な水域で幼虫が育つことから幼虫の成長速度が速く、夏であれば卵から1か月余りで成虫になる。こうして世代を繰り返しながら集団で北上していくが、寒くなると死滅していく。このため国内のほとんどの地域では、非土着種として扱われている。